〔中央アルプスのコマクサ〕
中央アルプスのコマクサは、明治大正期に薬草として採り尽くされてほぼ絶滅したと言われている。今木曽駒ケ岳、宝剣岳周辺で見られるコマクサは駒ヶ根営林署などが植えたものだ。ただ植えてから大分年数も経っているから結構立派な株も見られる。
コマクサ(背後の山が木曽駒ケ岳の山頂、植物保護のロープ撃ちから手を伸ばしての撮影です、念のため)
木曽駒ケ岳を離れ、千畳敷へ戻る。中岳の巻き路にはミヤマシオガマやミヤマダイコンソウが咲いていた。
ミヤマシオガマ
ミヤマダイコンソウ
乗越浄土へ戻り、千畳敷へ向けて花の写真を撮りながら下る。岩陰には黄色い花のスミレ、クモマスミレが咲いている。
クモマスミレ
良く似た黄色い花が3種類ほど咲いている。一番背が低く、花弁の付け根が濃いのがミヤマキンバイ。
ミヤマキンバイ
ひょろっと背が高く、花弁の光沢が目立つのがミヤマキンポウゲ。
ミヤマキンポウゲ
一番花が大きく重厚感があって豪華なのがシナノキンバイ
シナノキンバイ
白い花で目立つのはハクサンイチゲ
ハクサンイチゲ
カールの底一面にコバイケイソウが多い。
コバイケイソウ
ロープウェイ乗り場のすぐ脇でコウメバチソウを撮影したのを最後に千畳敷を後にした。
コウメバチソウ
2013年7月26日、中央アルプス木曽駒ケ岳に登った。ロープウェイで一気に2,612mの千畳敷カールまで登る。
千畳敷カール
歩きだしてすぐミヤマクロユリの花が咲いていた。
〔ミヤマクロユリ〕
誰にも知られずに好きな人の近くにそっと置いておき、送り主が誰かわからないままに相手がその花を手にすると、二人はかならず結ばれるという伝説もあれば、戦国時代アンチ秀吉、雪の立山ザラ峠越えの佐々成正お家断絶の呪いの花伝説など、伝説の多い花。地味で伝説負けという声もあるが、私には魅力的な花に見える。ただ、その魅力を表現できた写真になるかどうかはまた別の話。また撮り直しが必要だ。
今年はコバイケイソウの当たり年だそうで、どこの山でもコバイケイソウが多いと言う。ガスがかかったカール壁をバックにLEDライトを光らせると妖しい雰囲気になった。
コバイケイソウ
コイワカガミも少し光量不足なのでLEDライトを照らして撮る。
登山道はカールの壁を登る急坂にさしかかる。急坂の途中にも多数の高山植物が咲いている。
ミヤマアシボソスゲ
スゲの花を撮るなんてなんてマニアックだと思いながら撮影したが、LEDライトに照らされた霧の中のスゲの花は結構綺麗じゃないかってやっぱりマニアックかな。
急なカール壁を登りきったところが乗越浄土。タカネツメクサの小さな白い花が岩陰に咲いていたので宝剣岳をバックに撮影。
タカネツメクサ(後ろの山は宝剣岳)
宝剣岳の隣に天狗の顔のような岩がある。タカネツメクサより花弁が細いイワツメクサが咲いていたので無理やり背景に入れてパチリ。
イワツメクサ
中岳を越えて木曽駒ケ岳本峰へ向かう。木曽駒ケ岳での最大の目的はコマウスユキソウ(ヒメウスユキソウ)。メインの登山道から少し離れた登山道沿いにコマウスユキソウが一面に咲いている場所がある。
〔コマウスユキソウ〕
別名ヒメウスユキソウ 中央アルプス木曽駒ケ岳周辺の高山帯に生息。日本のウスユキソウ属では最小。高さは4~15cm程度。
タカネツメクサの倍くらいの高さしかない(数cm)ことがわかるだろうか。
中には比較的立派な株もある。
マッターホルンをバックにしたら負けるけれど、中央アルプスの孤峰三の沢岳バックのコマウスユキソウもこれくらい立派だと欧州のエーデルワイスに引けを取らないというのはひいき目か。
実は、この日は木曽谷からあおられそうになるくらいの強風が吹上げ、とんでもなく寒かった。最も風が強い場所では、鼻水たらしながら10分が限界だった。
(続く)
林床で長い花枝を伸ばして層状に花を付け、まるでの花のトーテムポールのよう。
「秋の」と名前に付いているいるが、「ナツノタムラソウ」との区別で付けられただけで、早いものは梅雨時から咲く。ちょっとした雑木林であればどこにでも生えるような野草だけれど、下から順に咲きあがって長い期間楽しませてくれる。背の高い株があったので、下からLEDライトを当てて空に向けて撮ってみた。
アキノタムラソウ 2013年6月 神奈川県
〔アキノタムラソウ〕
花期 : 7月~11月(多摩丘陵あたりでは6月中から咲き始める)
分布 : 山形以西の本州、四国、九州、沖縄、朝鮮半島、中国
山野の疎林、道端などの半日陰に普通に見られる。
南関東だと3月中旬くらいから、コブシとハクモクレンが咲き始める。
花弁の数が6枚で、横向き、斜め上向きに咲いているのがコブシの花。
コブシ 2013年3月17日 神奈川県
花弁が9枚のように見え(3枚はがく)、上向きに花を付けているのがハクモクレンの花
ハクモクレン 2013年3月17日 神奈川県
〔コブシ〕
コブシの開花を目安に農作業を始める地域も多く、「田打ち桜」、「田植え桜」などと呼ばれる。
花期 : 3月~4月
〔ハクモクレン〕
花期 : 3月~4月
中国原産、芳香のある花を咲かせる。
ヨーロッパ原産で、道端や空き地、畑などのありふれた雑草。小さい花だがオオイヌノフグリを従えて咲く姿は確かに春の舞姫。
ヒメオドリコソウ 2013年3月10日 神奈川県
〔ヒメオドリコソウ〕
和名は、花の形が,笠をかぶった踊り子の姿を思わせることから付いた。
花期 : 関東では3~5月
明治期にヨーロッパより渡来、近年分布を広げている。